TIM Labs

2017年9月アーカイブ

MATH POWER のイベントが着々と近づいている。
なかなか詳細が決まらなかったのだが、最終的な合体数が決まった。
図ではこんな感じだ。

MATHPOWER247frame.pngブロク上では非常に細かくなっているが、右クリックで図だけを表示して見て欲しい。
ちゃんと9x9の板が247枚重なった状態になっている。

小さいマスで数えると、縦方向69, 横方向273である。
69x273 = 18837マスとなるのだが、これでは空き(穴)部分まで含まれてしまうので、ちゃんと計算してみよう。

247x81 = 20007 マスになるが、これでは重なっている部分が2重にカウントされているので、取り除く。
重なっている部分は3x3のブロックで、これが、縦に10段、横に44列あるので、全体のマスの個数は
247x81 - 10x44x9 = 16047個ある。
このうち数千個には最初から数字が入っており、その数字(ヒント)を参考に解き進んでく訳である。

ヒント数は4000前後を予定しているので、書き込まないといけない空きマスは、約12000マスである。
これを33時間くらいかけて解いて欲しいので、平均で1マスあたり6秒で解けばよいことになる。
5人で同時に解くならば、1人30秒で1マス書き込めば大丈夫である。
これは、かなりじっくり考えてながら解くペースである。
9x9に換算して、1枚約30分かけられるので、つい難問にしても大丈夫かと思うのだが、それは来場者のナンプレ能力に強く依存するので、試し解きして調整の予定である。

ところで、合体ナンプレを作る機能は以前からあったのだが、さすがにこんなに巨大な合体は注文されたことがなく、9x9の板を配置するGUIを作って、色々特殊な配置も対応できるようにしていた。
なので、いままでのソフトでも可能ではあるのだが、人手で274枚配置するのはプログラマとしては耐え難い苦行である。

ということで、上図のように規則的な配置の場合は、全体の枠(今回は、69x247)を与え、配置パターンボタンを押すだけで上図の配置ができるようにした。
実際のサイズは、会場都合、撮影都合、現場都合、問題製作都合など様々な要素があって、イベントでよくあるようになかなら決まらなかったのであるが、人手で配置しなかったので、サイズに関しては、かなり気楽に対処できた。

あとは、ヒント配置をデザインし、難易度の設定をして実行ボタンを押すだけ(かな)。

mathpower2017.pngのサムネール画像   


20170914115721902_0001 (403x600).jpg

なっとくする群・環・体

著者    野崎昭弘
ISBN         978-4-06-154572-4
判型          A5 
ページ数    198ページ
発行年月    2011年2月25日
発行     講談社
本体価格    2,700円

微積、線形代数だけではなく、現代数学にちょっと触れてみたいなということになるど、代数学の入り口である、群・環・体を知らねばならない、と思いちょっと読んでみた。

本書は、群・環・体の基本をできるだけ具体的な例を多くして、分かりやすく書いているのでお手ごろである。
しかし、ときどき筆がすべったためだと思うのだが、一部は定義、定理?証明が延々と続くこともあり、ハードな部分もある。まあ、そういう箇所では、ハードになるがとの前触れはあった。

易しくしながら、群・環・体を一通り書こうとしているので、しばしば証明や説明が飛ばされることがある。ページ数を抑えるということで、そうなってしまったと思われるが、範囲はこのままで、さらに丁寧な説明であると、本当に初心者向きになったのではと思う。

最終的な目標は代数方程式論、5次以上の代数方程式は代数的には解けないことを説明するつもりだったらしいが、そのために群・環・体の説明を始め、アーベルやガロアの紹介はあったが、代数方程式論については他書でどうぞということで終っている。

著者の色がかなり強く出ている本である。つまり、自己主張が強いのである。このあたりは好みの問題かと思う。

・・・なんてことを書いたが、自分で現代数学の勘がつかめたところまでいけてないように思う。
読んでいて、すべてがスッと納得できるところまではいかず、もやもやも少し残っている。
これは、抽象的な数学分野であればあるほど、本を読んでも掴みどころのなさに苦しめられる。
それでも、あれこれ読んでいると、いつの日か、全体像が見えてくることがある(のかなぁ)。

本書以外で同じ分野を扱った有名な本に、『群・環・体入門』新妻 弘、木村 哲三 共著、共立出版がある。
こちらは、同名の演習書もあり、もっと普通の入門書ではないかと思う。

群・環・体については、代数学の本の最初に載っている場合も多く、本書よりも高いレベルの本が多いらしい。


合体ナンプレ館09 (467x600).jpg『合体ナンプレ館 Vol.9』 本日発売

巨大な合体ナンプレを突然解くというのは難しい。
でも、ちょうど良いタイミングで、本日『合体ナンプレ館Vol.9』が本日発売になった。
これに載っている問題、とくに難問に分類されている問題を今から解いて鍛えれば、まだ間に合う。
ぜひ練習しよう。


合体ナンプレはどこから手をつければよいのか?

初めて解くときには、普通のナンプレを解きなれていても迷うかもしれないので、ちょっとだけ解き方を説明する。
もし自分で解き方を見つけたいと思う場合は読まないほうが良い。
でも、今回は、とても基礎的な部分だけしか説明はしない。

では、始めよう。

MATH POWER 2017 のニュースが色々流れ始めているようだ。

それによると巨大パズルは、横6m、縦1.5mと横に長い合体ナンプレになった。
(いや、本当はちょっと前から知っている)
縦1.5mというのは、このくらいの範囲なら立って手が届く範囲だろうということ。
横6mというのは、会場に設置できる巨大合体ナンプレを貼るために確保できる長さで決まったのだろう。
このサイズ、たとえば新宿の地下道の壁にある巨大な看板と比較するとだいたい分かる。
長さ6mということは、一歩60cmとすると10歩の長さになる。

問題は、合体数だろう。9x9の標準のナンプレが何枚重なっているか。
50枚、100枚とかではなく、もっともっと多いのだ。
あまり多いと、易しい問題にしても、書き込むマスの数が多く大変であるし、1つのマスが小さくなると書き込みにくくなる。
それ以前に、そういう巨大合体ナンプレは作ったことがない。Gattai-13-105211.png
大量のメモリを搭載した超強力なマシン、いわゆるスパコンを使っているかというと、そこまでコンピュータ・リソースは富豪になっていない。
このくらい大きいのは、今回初めての注文である。

並べ方は角のブロックだけが重なるようにして、ずらっと並べる。

次の問題は、Sumo(13合体)である。


MATH POWER 2017が1ヶ月を切ったので、ちょっと数学的な話をしよう。
といっても、数学的にはちょっと雑かもしれないが。

計算式で、次の簡約法則が成り立つのは当然と思っていないだろうか。

もし x ≠ 0 で、x ・ y = x ・ z ならば、  y = z  である

なぜならば、左辺、右辺を同じ数 x で割れば、あるいは 1/x を掛ければ、 y = z となるので当然。

ところで、数の世界は、最初に加算を定義し、次に減算を定義することで、自然数だけで閉じていた加算に0と負の整数を加えて、加減算が自由にできるようになった。

つぎに乗算を定義する。
ここでは記号 ・を使うことにする。

ところで、上の命題、乗算は使用しているが、除算は入っていない。
上の命題は、除算を含んでいないので、除算がまだ定義されていない世界で成り立つだろうか。

数の演算で、加減乗まで認めると「環(ring)」になり、除算を認めると「体(field)」になる。
つまり、環は整数だけで大丈夫なのだが、除算が入った体は整数の世界で閉じなくなる。
なので、できれば、整数だけの世界で上の命題を考えてみようという訳だ。

群・環・体については聞いたことがあるかも知れないが、環と体の間というか、環をちょっと拡張したものを考える。

まず、零因子の定義から。
あるy≠0 に対して x ・y = 0 となる x を「零因子」という

そして、加減乗ができる環に以下の条件が成り立つ場合、整域という。
0が唯一の零因子である環は、整域(integral domain)と呼ばれる

つまり、 x ・y = 0 だったら、x か y は必ず0である世界である。
 まだ除算を導入していないが、この場合にも、最初の命題の乗算の簡約法則が成り立つ。

 では、x ・ y = x ・ z ならば、  y = z  を除算を使わず整域の範囲で証明してみよう。

x ・ y + x ・(-z) = x ・ z + x ・(-z)
左辺 = x ・ y + x ・ (-z) = x ・ (y + (-z))
右辺 = x ・ z + x ・ (-z) = x ・ (z + (-z)) = x ・ 0 = 0
となり、
x ・ (y + (-z)) = 0
命題では x ≠ 0 なので、
y + (-z) = 0
でなければならない。 この式から移項することで、 y = z が得られる。(証明終了)

参考文献:野崎昭弘『なっとくする群・環・体』講談社(2011)の3.1.1 整域 を大いに参考にした。

除算を考えなくても乗算の簡約法則が成立することが証明できたのだが、少々面倒な証明になっている。
世間では、共通因子で割ることができるとの考えが普通であろう。
つまり、初めから体しか考えていないと思われる。

ということで、屁理屈(難癖)終了。


mathpower2017.pngのサムネール画像   


合体ナンプレ、海外では GATTAI SUDOKU または単に GATTI と呼ばれている。
さらに、海外では、合体の仕方によって、独特の和名がつけられている。
それらについては、Sudopedia というページが非常に詳しかったのだが、今は無くなっている。
しかし、Sudopediaのミラーが存在するので、それを元に今回は色々紹介というか、説明をしよう。

ここが、SudopediaのミラーのMain Pageである。
解法(Solving Technique)は非常に詳しいが、今回は説明を省略する。

Sudokuの数学的な事柄(Mathematics of Sudoku)についても詳しく、MATH POWER の人には読むと面白い内容が多いと思うが説明が大変面倒そうなので省略する。

今回は、合体(Gattai)についてのみ紹介する。
2合体から25合体について、和名がついているのが分かるだろう。
以下は、その中の一部である。

DSCN0735 (600x450).jpg右は電源コードで、世界各国のコンセントに合うように様々なのが入っていた。
A1プリンタが組みあがったので、次は動作確認だ。
そのためには、まず電源だ。

箱の中には、写真のように、多数の電源コードが入っていた。
プラグの形状が全部違う。
世界中どこへ輸出しても大丈夫なように、世界で使われているほとんどのタイプのプラグを入れているようだ。
日本向けを探し出し、電源を入れ、とりあえず単独テストで、試験印刷。
テスト印刷は、A1プリンタであるが、A4のサイズに納まるパターンだった。
次は、LANに繋ぐ番だ。
LANケーブルかUSBケーブルを繋いでと思ったら、勝手に無線LANで繋がっていて、便利。
ドライバもネットから簡単にインストールできてしまう。
ということで、マニュアルは結局見ないで接続できて、試し印刷完了。

次に、MATH POWER の巨大ナンプレの試作問題(合体数は本番と同じで、数字の並びが暫定版)を印刷しようとした。
所詮A1プリンタなので、イベント会場に張り出す大きさで印刷できないので、A1プリンタの幅である約60cmに収まるように調整して、Excelから印刷である。

印刷ボタンを押し、プリンタの管理画面を見ると、ちゃんと印刷中になった。
まあ、巨大なExcelファイルなので、印刷が始まるまでに時間がかかる。
そう思って待っていたが、いつまでたっても印刷しない。

とりあえず、印刷中のジョブをキャンセルし、再び印刷操作をしたのだが、やはりダメである。

しばらく悩んで、常套手段を実行することにした。


巨大なパズルは、イベント会場ニコファーレの壁にデカデカと張り出し、30時間以上かけて何人もが寄ってたかって解き続けるものである。
なので、巨大なのだが、とても原寸大で印刷して確かめることはできない。
それで縮小印刷して、実際に解いて微調整をするのだが、それでも手元にある普通のA3プリンタで印刷したのでは、拡大鏡を使って、極細の鉛筆や消えるボールペンでないとダメである。
いや、そんなこと、目が疲れてできない。

ということで、A1ロングが印刷できるプリンタを入手することになった。
A1サイズはポスターのもっとも標準的なサイズで、駅などに張ってあるのがだいたいそうである。
A1ロングとは、A1が印刷できるプリンタであるが、A1の長手方向にはいくらでも長く印刷できるというものだ。
当然紙はロールになる。
A1はISO216の規格のうちA列の規格に属する。 (紙の寸法はWikipediaなどを見よう)
594×841mmなのだが、ロングの場合、ロール紙などを使うことにより、594×(長さ) という感じで、長さを自分で指定することで任意の長さを印刷できるのだ。

というようなことを調べて、安いA1プリンタを入手することにした。
大判が印刷できるプリンタにも、大きく分けて2種類ある。
設計者がCADで作った図面を印刷するエンジニアリング用と、デザイナーなどが要求する綺麗な印刷ができるデザイン用がある。
エンジニアリング用は、カラーは出るけれど、芸術というレベルにはちょっと遠い。
巨大なパズルの印刷では白黒が基本であり、カラーも出てくれるといいなという程度であるので、安いCAD向けのを入手した。
選んだのは、HPのT520 24インチ幅DSCN0726 (600x450).jpg

そして、到着した。
結構大きいのだ。
出荷梱包外寸が1,123×577×626mmで、重量が50kgである。
トラックが着いて、荷下ろしして、さてエレベータに乗るか、それが問題であった。

巨大ナンプレ作成室のあるビルのエレベータはかなり小型である。
ちょっと心配したが、台車に載せた状態で、ぎりぎり乗っかり、そのまま部屋まで運び込んだ。

木の台に載っているが、このくらい重くなると、フォークリフトを使うためであろう。



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