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2017年11月アーカイブ

quaternionIntro (423x600).jpg
3D-CGプログラマのための

クォータニオン入門 [増補版]

著者    金谷 一郎
出版社  工学社
定価   2,400円(本体)
頁数   240ページ
判型   A5判
発売   2015年 1月16日
ISBN  978-4-87525-243-6



ちょっと前に読んだ 『ハミルトンと四元数』 がかなり難解だったので、ちょっと易しめの本を読もう、そして3D-CGに関連したものとして本書を選んでみた。

確かにそういう内容で、クォータニオンによる回転などの式変形が丁寧に書かれていた。

しかし、通常、 i, j, k を使って説明される訳だが、本書は違った。

まず、小文字の i,j,k ではなく、大文字のI,J,Kで説明されるが、まあいいかと思っていると、基底ベクトルが次の複素2次正方行列で与えられるのだ。

quaternion-d1.png これを元に、3次元の回転が延々と説明される。
3次元の回転を、複素2次正方行列の演算で延々と説明される。
まあ、ちょっと面食らうのだが、この3つの基底は、i,j,k の場合と同じ性質を持つので、同じ、同値なのだと納得させられる。

人工知能の最適解(390x600).jpg

NHK出版新書

書評:人工知能の「最適解」と人間の選択

著者    NHKスペシャル取材班
出版社  NHK出版
定価   780円(本体)
頁数   224ページ
判型   新書判
ISBN   
978-4-14-088534-5

AIについて知るには、ちゃんとした技術書を読むに限るが、AIについて非技術者に説明するときの参考に、AI一般教養書のような本もある程度目を通しておこうと思って読んだ本だ。
そういう場合、特定の著者が考えを述べた本より、取材を伴った本の方が向いていると思って選んだ一冊である。

人工知能が、最近どのような事に使われ始めたか、とくに海外での利用についての紹介がかなり含まれている。
世界では「犯罪」が非常に多く、犯罪予防のためにAIを既に活用している事例が多いが、日本ではそれほど報道されていない気がする。
要するに、犯罪予測システムがある。犯罪者が再び犯罪を犯すかどうかの再犯率を予測たり、裁判にもAIが利用されているようだ。

そして、労働者をAIが監視し、指導し、などということも当然のように起きている。
もちろん、ちゃんと使えば効果は大きいと思うが、使い方によってはAIによる管理社会になりかねない。

かなりのことが、現在専門家が行っているより上手に処理できる可能性がある。
それも、今、専門職として高く評価されている職業である。
政治家もAIにやらせたほうがマシという考え方は、既にかなり一般的と思うがどうだろう。

将棋についての話もかなりある。
もう棋士よりもAIの方が遥かに強いことは誰しも認めていることだ。
今では、AIの示す手と同じ手をどれだけ打つかで棋士の棋力を判定することも行われている。
こんなことになると、もう将棋界は終わりかと思うと、違った動きになっている。
棋士の凄いところは、負けることで落ち込んでいるのではなく、遥かに強い相手が現れたことで、まだまだ将棋には未開の分野があることが分かり、さらに探求したいということだ。
強さへのあくなき探求があるのだ。
そして、実際、最近の将棋の世界は、人工知能の影響で、今までの定跡、常識がどんどん変わりつつある。
将棋界は、一時はAIを毛嫌いしバカな事件も起こしたが、今の一線の棋士や若手はAIを大いに利用しようとしているようだ。

AIは人類にとって「天使か悪魔か」は、結局人間がAIにどう対処していくか次第だろう。
そして、シンギュラリティが来るという話もあるのだが、シンギュラリティが来る前に、AIが社会変革を迫ってくる分野がいっぱい出てくるだろう。
日本は、旧勢力が必死で変革を拒むと思うが、そんなことをしていると日本が世界に置いていかれる可能性が大きい。
AIは、ハードの進歩により、ますます加速しそうな状態で、これからどんどん様々な問題を投げかけてくるだろう。
特に、社会、労働に関しては激しい変化を伴うことになるのだろ。

いずれにしても、AIがコモディティ化して、AI無しでは社会が動かなくなる日は近いだろう。
人類は、AIを操縦できるほど賢いか、それが問題だ。

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ハミルトンと四元数

人・数の体系・応用

著者    堀源一郎
出版社  海鳴社
定価   3,000円(本体)
頁数   360ページ
判型   A5判
ISBN   ISBN978-4-87525-243-6





四元数はどのくらいの人が知っているのだろうか?
quaternion(クオータニオン)ともいうのだが、少なくとも名前くらいは聞いたことがあるだろうか。
立体の回転などが簡単に記述できるので、CGなどでも使われるので、詳しい意味など知らないけれど使い方だけは知っている人が結構いるのかも知れない。

ハミルトンというと、ついハミルトニアンを思い出してしまう。
古典力学を終えたら解析力学を学んだと思うのだが、そこではハミルトニアンが出てくる。
つまり、ハミルトンに由来した物理量である。
そんなこともあって、解析力学はハミルトンの力学とも呼ばれる。
そして、これがその後の現代物理学に繋がっていったのだった(と書いてあった)。

ハミルトンはそういう意味で有名なのだが、もう1つ有名なのが四元数である。
複素数の場合、虚数i があり、i*i = -1 なのだが、iひとつだけでなく、i,j,kの3つが、
i*i = j*j = k*k = ijk = -1  となると決め、
四元数を  q = a + bi+cj+dk  と表すと、四元数は非可換体になる。
つまり、1,i,j,k を4つの単位元として四元数を表わすと、綺麗な数の体系が出来てしまう。

詳しくは、本書なり、その他の四元数の本やネットで調べようl。

さて、本書の構成に従って、読み終えたところまでの感想を書いておこうと思う。

第1部 ハミルトン
 ハミルトンの簡単な伝記である。
 とんでもない天才であったが、天才過ぎてなかなか理解してもらえなかった。

第2部 四元数とその性質
 四元数の定義、記法、様々な性質が紹介されている。
 この部分は丁寧に説明されているので、ちゃんと読めば分かると思われた。

第3部 四元数の応用
 まず幾何学への応用として、平面幾何学、正多面体、平面三角形と球面三角形 が紹介されている。
 このあたりから計算がしばしば省略されてくるので、ちょっと頑張って計算しないと分からなくなる。
 そして、式が面倒になるに従って、誤植も残っているので、しっかり読んでいこう。

 それから、物理学への応用の話になる。
 質点系の力学、剛体の力学、幾何光学、ローレンツ変換が紹介されるが、まだ剛体の力学を読むというか、計算しているところである。
 このあたりになると、物理の話も出てきて、次第次第に分からないことが増えていくのだが、わかる範囲で式を追っている。

総括としては、とにかく読み応えのある本で、なかなか読み終わらない。

ブロックチェーン技術入門 (405x600).jpg

 Introduction to blockchain Technology

著者    岸上順一、藤村滋、渡邊大喜、大橋盛徳、中平篤
出版社  森北出版
定価   2,400円(本体)
頁数   160ページ
判型   A5判
ISBN   978-4-627-87171-7

最近、ブロックチェーンの話題が盛んである。それで、少しはブロックチェーンについて技術的な面を入門レベルでよいから何か読んでおくべきかということで本書を選んだ。
ブロックチェーンの本と言っても、単なるハウツウ本から、技術について解説している本、ブロックチェーンを使ったアプリ開発のための本、もっとブロックチェーンそのものに突っ込んで解説している本など色々だ。
本書は、技術的な仕組みを一応解説しているが、プログラムレベルなど詳細に関しては省略されている。
本書を選んだ理由はそれ以外もあるが、少々大人の理由が入るので、ここでは書かない。

ブロックチェーンの説明は、ネット上にも多数あり、ここにわざわざ書く意味も無かろうと思い、省略する。

本書は概説書なのだが、ところどころ技術的に細かいところも書かれていたりしたので、その一部を紹介しよう。
データを印刷可能文字にエンコードするのに、昔はBase64を使っていたが、誤解されやすい I と 1 と l、O と 0、などを取り除いた Base58が今はよく使われているらしい。

本書の著者は、NTTサービスエボリューション研究所の研究員とOB(大学教授)なので、NTTで取り組んでいるブロックチェーンを著作権管理への応用の解説などもある。

電子マネーは日本ではなかなか普及しないのだが、現在電子マネーが普及しているのがアフリカだと書かれていた。
それで、実際にはどうなのか、ちょっと調べてみた。
アフリカ・ケニアでは、M-PESAという電子マネーが非常に普及しており、GDPの4割を占め、都会への出稼ぎ者が給与をM-PESAで受け取り、そのままM-PESAで送金するのが多いそうだ。
そういう記事も見つかった。

ブロックチェーンは、仮想通貨のためのシステムではなく、もっと多くのことに使える中央集権的ない台帳管理システムであるが、それゆえに現在の中央集権的な利権構造との親和性はよろしくなく、先進国における普及には色々な技術以外の問題点も多くありそうだ。

140ページほどの中に、技術的なことから、将来展望まで書いているので、実際のところや、詳細、アプリ開発などについては他書を読むしかない。
それでも、色々なシステムをできるだけ公平に評価しようとしている点は評価できる。
ブロックチェーンというと、やたらに煽った本とかが多いが、こういう落ち着いた感じで書かれている本の方が、実際には役立つだろう。



強いAI弱いAI (409x600).jpg 強いAI・弱いAI
研究者に聞く人工知能の実像

鳥海不二夫著
四六判
274ページ 
ISBN978-4-621-30179-1
発売 2017年10月26日
定価 本体1,800円 (本体)


本書は、10月7,8日にあったMATH POWER 2017 で、丸善出版から一押しの本として紹介された本である。
そのときにはまだ本が完成された状態ではなく、大きな紙に印刷され、その紙を折りたたんだのをまとめただけで、製本、裁断が行われる前の状態でだった。
あと10日ほどで出るからと、製作中のホカホカの状態の本を見て、個人的には非常に懐かしいものを感じた。

本書は、今のAIフィーバー状態に対して、ちゃんとAIを理解して欲しいという本と言えばよいだろう。
AIがブームになるとき、AIは常に「何でもできる」と捕らえられる。
囲碁、将棋でプロ棋士に圧勝する強さになったこと、医者よりも正確に病気の診断が出来た例などがでてくると、これはすごい、何でもできると思われる。
つまり、AIを、過大評価も、過小評価ではなく、適性評価して欲しいということで、専門家へのインタビューを中心にまとめた本である。

強いAI、弱いAIについては専門家の考えも一部異なるし、そもそもAIには定義さえない。
それでも、何か特定のことに特化しただけの専門AIは弱いAIでしかなく、とても人の知能にかなうものではない。
さらに、専門家により、AIへの取り組み姿勢が違うことも分かる。つまり、まだ答えなどない世界であることが分かる。
意識、自意識、喜怒哀楽、欲望、、、、などがAIに入らないと、鉄腕アトムはできないと考えられている。

それでも、脳の構造がゆっくりであるが徐々に分かってきている。
今のディープラーニングは層の数をやたらに増やしているが、それは違うはず。
どうやったら意識、自我、そんなものが生まれてくるのか、まだ全然わかっていない状態なのだ。

シンギュラリティが近いうちにやってくると騒いでいるが、今のAIはそんなに賢くない。
人間を滅ぼしたりするような感情はまだ持てないレベルのAIの研究しかないので、安心して大丈夫だと。

・・・・・そういうことが延々と書かれている。

そういう内容なので、AIのプログラムを弄っているような人には、とくに読む必要はないようだというか、既に知っている内容だと思う。
しかし、周囲のAI誤解者、AI否定者などに説明するのは参考になる。

内容、つまり「強いAI・弱いAI」の区別と、現在のAIの状況を理解するには、特別な理解は必要なく、かつ本書は第一線で研究・活躍している関係者の話なので、多くの本のように、煽ったり、適当に誤魔化したりするところを避け、冷静にAIの専門家でない人が現状のAIを冷静に見ることができるようになる一助になると思う。
そして、この意味で本書の価値は高いと思う。

弱いAI,確かに何とかバカというレベルのAIでしかない。
でも、強力な専門バカなので、専門バカ的な仕事をしている人は、弱いAIに仕事を奪われる可能性は十分にある。

人にAIの説明するときに、本書をいろいろ利用しようかな。

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