書評:『数理最適化の実践ガイド』


2018年 01月 20日

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数理最適化の実践ガイド

著者  穴井 宏和

発行  2013年3月1日

サイズ  A5, 150頁  

ISBN  978-4-06-156510-4

価格  2,800(本体)  

本書は、以前紹介した『今日から使える!組合せ最適化』(以下前書と書く)の姉妹書である。
内容的には、前書が最適化の入門の入門書で、本書がその続きのような内容になっている。
しかし、発行日を見ると、本書が先に出され、後からよりわかりやすい入門の入門が出されたようである。

本書も前書同様にかなり薄い本である。

内容的には、最適化について離散最適化を除き、連続最適化に限っている。
内容は2部にわかれていて、前半は最適化全般の話である。
ただし、このページ数であるので、証明とか、詳しい説明については、巻末に参考書のリストがあり、より詳しく知りたい場合に読むと良い本が紹介されている。
要するに、きちんと知りたければ、別の本を読むべきである。

後半は、個々のアルゴリズムの紹介である。
多目的最適化の章があり、いくつかの具体的なアルゴリズムの概略が示されているのは、これだけ薄い本では珍しいことではないかと思う。
具体的なアルゴリズムの紹介に入ってから、手順の紹介だけに終わることが多くなり、最適化がうまく行く根拠の説明などがどんどん省略され、参考文献の紹介に終わることが多い。

ということで、本書を読むと、実際にどんなアルゴリズムが使われるかの概要が分かるようになる。
でも、実際に使おうと思ったら、相当情報が足りないので、巻末に紹介されている本を読み、しっかりと理解する必要がある。

なので、まさに「実践のガイド」であった。