書評:『Kivyプログラミング』


2018年 07月 02日

PythonKivy.jpg
実践Pythonライブラリー

Kivyプログラミング

Pythonでつくるマルチタッチアプリ

監修  久保幹雄
著者  原口和也
発行日  2018年6月10日
サイズ   A5, 200頁  
ISBN  978-4-254-12896-3
価格   3200円(本体) 
発行所  朝倉書店

サポートページ

Pythonが流行っていて、人工知能関連のツール・ライブラリなどは選ぶのに困るくらいある。
しかし、GUIとなると、状況はまるで違って、とても少ない。

Pythonには標準のGUIとしてTkinterがついてくるのだが、ちょっと古いというか、かっこう悪いというか、いけていないのであった。

GUIをPythonのコードでガリガリ書いていくと、プログラムが肥大化するし、デザインがプログラムの中に入ってしまって、ごちゃごちゃしてしまう。
WEBページをHTMLだけで作るのではなく、デザイン部分はCSSで書くというのと同じように、分離できないものだろうか。

それに応えたのが、Kivyで、簡単な言語で記述することができる。
マルチプラットフォームであり、マルチタッチなどにも対応している。
詳細について書くと切りがないので、ネット上の情報を挙げておく。

Kivy公式サイト
Kivyドキュメント和訳サイト
YouTubeのKivy tutorial(多数、英語)

さて、本書であるが、GUIの解説書にしては、かなり薄い本である。
書き方は、一昔前の教科書スタイルといえば良いだろうか。
Kivyの本なのだから、もうちょっと新しいスタイルにしてほしかった。

解説の図はかなり少ない。
ページ数を抑えていることもあり、必要なことは書いているが、丁寧という感じはしない。

でも、まあ、ちらちらと動かしてみた。
Kivyは、動かすよりも、その前のインストールにハマる人が多いと聞く。
Python経験が少ない場合には、かなりハマるのではないかと思う。
本書では、インストール関連の説明はかなり少ないので、困った時はググることで解決しよう。

日本語は、ハマりやすい個所であるが、これも最低限の説明で済ませてある。
現状ではフォントの指定など、やや面倒であるが、どうやらKivyはutf-8対応を進めようとしているらしく、フォントの設定をしなくてもデフォルトのフォントで漢字も表示できるようになるらしいことがネット上に書かれていた(詳しく確認はしていない)。

インストールと日本語に関しては、巻末にまとめて解説していて欲しいものだ。

プログラムであるが、印刷された本に掲載されたものと、サポートページにあるソースコードに若干の差が有る。
6.2のマッチメーカーであるが、書籍のコードでは動きがおかしくなるなと思ったら、サポートページのコードは修正されていた。
せめて、サポートページに正誤表を載せてもらいたいものだ。

とりあえず、現状では2013年に工学社から出た
「Kivy」ではじめるPythonプログラミング―グラフィックライブラリでアニメーションを表現! (I・O BOOKS)
しかなかったのだから、今、本で読みたい場合は、この本しか無いのが実情だ。

Kivyのドキュメントは和訳があるし、かなり丁寧なので、そちらでも十分勉強できると思う。

現在、英語でもKivyの新しい書籍は出ていないようだ。どうなっているんだろう?