TIM Labs

fujiによるエントリー一覧

20171114181045695_0001 (423x600).jpg

ハミルトンと四元数

人・数の体系・応用

著者    堀源一郎
出版社  海鳴社
定価   3,000円(本体)
頁数   360ページ
判型   A5判
ISBN   ISBN978-4-87525-243-6





四元数はどのくらいの人が知っているのだろうか?
quaternion(クオータニオン)ともいうのだが、少なくとも名前くらいは聞いたことがあるだろうか。
立体の回転などが簡単に記述できるので、CGなどでも使われるので、詳しい意味など知らないけれど使い方だけは知っている人が結構いるのかも知れない。

ハミルトンというと、ついハミルトニアンを思い出してしまう。
古典力学を終えたら解析力学を学んだと思うのだが、そこではハミルトニアンが出てくる。
つまり、ハミルトンに由来した物理量である。
そんなこともあって、解析力学はハミルトンの力学とも呼ばれる。
そして、これがその後の現代物理学に繋がっていったのだった(と書いてあった)。

ハミルトンはそういう意味で有名なのだが、もう1つ有名なのが四元数である。
複素数の場合、虚数i があり、i*i = -1 なのだが、iひとつだけでなく、i,j,kの3つが、
i*i = j*j = k*k = ijk = -1  となると決め、
四元数を  q = a + bi+cj+dk  と表すと、四元数は非可換体になる。
つまり、1,i,j,k を4つの単位元として四元数を表わすと、綺麗な数の体系が出来てしまう。

詳しくは、本書なり、その他の四元数の本やネットで調べようl。

さて、本書の構成に従って、読み終えたところまでの感想を書いておこうと思う。

第1部 ハミルトン
 ハミルトンの簡単な伝記である。
 とんでもない天才であったが、天才過ぎてなかなか理解してもらえなかった。

第2部 四元数とその性質
 四元数の定義、記法、様々な性質が紹介されている。
 この部分は丁寧に説明されているので、ちゃんと読めば分かると思われた。

第3部 四元数の応用
 まず幾何学への応用として、平面幾何学、正多面体、平面三角形と球面三角形 が紹介されている。
 このあたりから計算がしばしば省略されてくるので、ちょっと頑張って計算しないと分からなくなる。
 そして、式が面倒になるに従って、誤植も残っているので、しっかり読んでいこう。

 それから、物理学への応用の話になる。
 質点系の力学、剛体の力学、幾何光学、ローレンツ変換が紹介されるが、まだ剛体の力学を読むというか、計算しているところである。
 このあたりになると、物理の話も出てきて、次第次第に分からないことが増えていくのだが、わかる範囲で式を追っている。

総括としては、とにかく読み応えのある本で、なかなか読み終わらない。

ブロックチェーン技術入門 (405x600).jpg

 Introduction to blockchain Technology

著者    岸上順一、藤村滋、渡邊大喜、大橋盛徳、中平篤
出版社  森北出版
定価   2,400円(本体)
頁数   160ページ
判型   A5判
ISBN   978-4-627-87171-7

最近、ブロックチェーンの話題が盛んである。それで、少しはブロックチェーンについて技術的な面を入門レベルでよいから何か読んでおくべきかということで本書を選んだ。
ブロックチェーンの本と言っても、単なるハウツウ本から、技術について解説している本、ブロックチェーンを使ったアプリ開発のための本、もっとブロックチェーンそのものに突っ込んで解説している本など色々だ。
本書は、技術的な仕組みを一応解説しているが、プログラムレベルなど詳細に関しては省略されている。
本書を選んだ理由はそれ以外もあるが、少々大人の理由が入るので、ここでは書かない。

ブロックチェーンの説明は、ネット上にも多数あり、ここにわざわざ書く意味も無かろうと思い、省略する。

本書は概説書なのだが、ところどころ技術的に細かいところも書かれていたりしたので、その一部を紹介しよう。
データを印刷可能文字にエンコードするのに、昔はBase64を使っていたが、誤解されやすい I と 1 と l、O と 0、などを取り除いた Base58が今はよく使われているらしい。

本書の著者は、NTTサービスエボリューション研究所の研究員とOB(大学教授)なので、NTTで取り組んでいるブロックチェーンを著作権管理への応用の解説などもある。

電子マネーは日本ではなかなか普及しないのだが、現在電子マネーが普及しているのがアフリカだと書かれていた。
それで、実際にはどうなのか、ちょっと調べてみた。
アフリカ・ケニアでは、M-PESAという電子マネーが非常に普及しており、GDPの4割を占め、都会への出稼ぎ者が給与をM-PESAで受け取り、そのままM-PESAで送金するのが多いそうだ。
そういう記事も見つかった。

ブロックチェーンは、仮想通貨のためのシステムではなく、もっと多くのことに使える中央集権的ない台帳管理システムであるが、それゆえに現在の中央集権的な利権構造との親和性はよろしくなく、先進国における普及には色々な技術以外の問題点も多くありそうだ。

140ページほどの中に、技術的なことから、将来展望まで書いているので、実際のところや、詳細、アプリ開発などについては他書を読むしかない。
それでも、色々なシステムをできるだけ公平に評価しようとしている点は評価できる。
ブロックチェーンというと、やたらに煽った本とかが多いが、こういう落ち着いた感じで書かれている本の方が、実際には役立つだろう。



強いAI弱いAI (409x600).jpg 強いAI・弱いAI
研究者に聞く人工知能の実像

鳥海不二夫著
四六判
274ページ 
ISBN978-4-621-30179-1
発売 2017年10月26日
定価 本体1,800円 (本体)


本書は、10月7,8日にあったMATH POWER 2017 で、丸善出版から一押しの本として紹介された本である。
そのときにはまだ本が完成された状態ではなく、大きな紙に印刷され、その紙を折りたたんだのをまとめただけで、製本、裁断が行われる前の状態でだった。
あと10日ほどで出るからと、製作中のホカホカの状態の本を見て、個人的には非常に懐かしいものを感じた。

本書は、今のAIフィーバー状態に対して、ちゃんとAIを理解して欲しいという本と言えばよいだろう。
AIがブームになるとき、AIは常に「何でもできる」と捕らえられる。
囲碁、将棋でプロ棋士に圧勝する強さになったこと、医者よりも正確に病気の診断が出来た例などがでてくると、これはすごい、何でもできると思われる。
つまり、AIを、過大評価も、過小評価ではなく、適性評価して欲しいということで、専門家へのインタビューを中心にまとめた本である。

強いAI、弱いAIについては専門家の考えも一部異なるし、そもそもAIには定義さえない。
それでも、何か特定のことに特化しただけの専門AIは弱いAIでしかなく、とても人の知能にかなうものではない。
さらに、専門家により、AIへの取り組み姿勢が違うことも分かる。つまり、まだ答えなどない世界であることが分かる。
意識、自意識、喜怒哀楽、欲望、、、、などがAIに入らないと、鉄腕アトムはできないと考えられている。

それでも、脳の構造がゆっくりであるが徐々に分かってきている。
今のディープラーニングは層の数をやたらに増やしているが、それは違うはず。
どうやったら意識、自我、そんなものが生まれてくるのか、まだ全然わかっていない状態なのだ。

シンギュラリティが近いうちにやってくると騒いでいるが、今のAIはそんなに賢くない。
人間を滅ぼしたりするような感情はまだ持てないレベルのAIの研究しかないので、安心して大丈夫だと。

・・・・・そういうことが延々と書かれている。

そういう内容なので、AIのプログラムを弄っているような人には、とくに読む必要はないようだというか、既に知っている内容だと思う。
しかし、周囲のAI誤解者、AI否定者などに説明するのは参考になる。

内容、つまり「強いAI・弱いAI」の区別と、現在のAIの状況を理解するには、特別な理解は必要なく、かつ本書は第一線で研究・活躍している関係者の話なので、多くの本のように、煽ったり、適当に誤魔化したりするところを避け、冷静にAIの専門家でない人が現状のAIを冷静に見ることができるようになる一助になると思う。
そして、この意味で本書の価値は高いと思う。

弱いAI,確かに何とかバカというレベルのAIでしかない。
でも、強力な専門バカなので、専門バカ的な仕事をしている人は、弱いAIに仕事を奪われる可能性は十分にある。

人にAIの説明するときに、本書をいろいろ利用しようかな。

9x9のナンプレのヒント数の最少は17個であることが 2012年1月1日、アイルランドの数学者Gary McGuireによって証明されている。
しかし、ヒント数16のナンプレが出来たと、先日東京青山であった、MATH POWER 2017 で発表された。

これはどういうことだろうか?
証明が間違っていたのだろか。
あるいは、発表が間違っていたのだろうか。

まずヒント数についてだが、通常の数独のヒント数(問題に最初から示される数字の個数)は17個が最少である。
その例を次に示す。
9x9-17.png
ナンプレの問題は、点対称に数字が配置されていることが多いのだが、ヒント数17では点対称の問題はまだ発見されていないらしい。この問題は、対角線に対して対象にヒントを配置したものであり、難易度はやや高いものの中級程度である。

ヒント数をもっと少なくするにはどうすれば良いだろうか。
ナンプレには、全部で27個の制約条件がある、縦9マスの数字が全て異なるというのが全ての縦列についあるので、これで9個の制約条件がある。横についても同様で、9個の制約条件がある。そして、3x3のブロック内の数字も全て異なるというので、また9個の制約条件があり、全部で27個の制約条件がある。
本当は、一部の制約条件は、他の条件から導かれるのであるが、とりあえず小さいことは無視しよう。

さて、ヒント数を少なくするにはどうすればよいだろうか。
制約条件を増やせば、ヒント数は減らせるはずである。


printfといえば、C言語のこれが有名である。

printf("hello, world\n");

というか、プログラミング言語C の本は、これで始まる。

実際にはprintfは、%何とかの形式で色々書式指定することにより、整形されたプリントのために使われる。

C言語のprintfが評価されたのであろう、このprintf が今では多数の言語に実装されている。
Wikipediaにちゃんとprintfのページがあり、英語版の方はしっかり書かれている。
programming languages with printf によると、25ほどのプログラミング言語が並んでいて圧倒される。

printf という関数あるいはメソッドは、実はプログラミング言語だけにとどまらず、シェルにも実装されている。
以下ではbashの例を示すが、他のシェルでも実装されているのではないかと思う。

まずは、基本的な使い方である。
単にメッセージを出したければ、echoを使えば良いだけなのだが、整形を色々したければ、書式指定文字列でできる。

$ greeting="Hello shell"
$ echo $greeting
Hello shell
$ printf "message:%s\n" $greeting
message:Hello
message:shell
$ printf "message:%s\n" "$greeting"
message:Hello shell

printfの出力をシェルの変数に代入して後て使いたいときがある。
そのときは、次のように、printf全体を$()で囲むとできる。

$ text=$(printf "message:%s\n" "$greeting")
$ echo $text
message:Hello shell

10進数、16進数の変換も可能である。

$ v=1000
$ printf "%x\n" $v
3e8
$ printf "%#x\n" $v
0x3e8
シェル上で浮動小数点数の演算も行いたい場合には、 bc(An arbitrary precision calculator language)を使えば可能であるが、そこまでの偏執狂者ではないのでシェル上では浮動小数点は扱わないことにしている。 そういう場合は、何らかのスクリプト言語を使う。
でも、どうしても全てをシェルで書かないと気がすまないシェル教徒を制止する気はない。
MATH POWERも、開始24時間を過ぎ、じわじわと埋まってくるのだが、よく見るとこんなミスが発生しているのだ。

DSCN0890 (600x448).jpg
D1の上の9x9(青枠)は埋まっているのだが、その右の9x9の青枠の中で矛盾が発生している。
重なっているオレンジ枠の最上段が、6 2 5 9 _ 31 _ _ となっているのだが、この1の右マスには入れられる数字がないのだ。
つまり、どこかが間違っている。

答の同じ部分:
anspart1.png
D1の上の9x9の中にミスがかなりある。
ということで、親切に間違っているところをどんどん消すことで応援することにした。

実は、これをやると忙しい。
どこに発生するかわからないので、答を持っているからといって、全マスチェックするのは大変だ。
最終的にどこまで(何合体)完成したかの確認のために、チェッカーが2名いる。
だから、チェッカーというより、ミスに陥って、ミスが蔓延するのを適当に防ぐ必要があるので、効率よくチェックすることにした。

10月7日、8日に東京青山のスパイラルホールで32時間連続のイベント「数学の祭典 MATH POWER 2017」が開催された。
イベント全体の内容は、以下のページで見られる。
MATH POWER 2017 のイベントを一気に35時間見たければ、ニコニコ動画で見られる。

mathpower2017.pngのサムネール画像   

多数の来場者で解かれた247合体の問題は、MATH POWER 2017 の公式ページにて公開中。


さて、247合体は、ホールに入る前のホワイエの、受付の裏側に、横6m、高さ1.5mで貼られていた。 表面はホワイトボード状になっていて、細字のマーカーで書き込む。
開場直前の写真である。
どうして照明が不足するので、上にライトを並べてある。


247GATTAI.JPG
MATH POWER 2017が近づいてきた。
参加される方は注意:場所が、六本木のニコファーレから、青山のスパイラルホールに変更になった。
詳しくは、以下で確認を。

mathpower2017.pngのサムネール画像


さて、「もっと社会に数学を」ということで、今回は巨大合体ナンプレではなく、数学の、それも思いっきり飛んだ数学の本を紹介しよう。

パリコレで数学を (419x600).jpg
パリコレで数学を
les mathématiques au défilés de mode

サーストンとポアンカレ予想

著者   阿原一志
ISBN   978-4535788145
判型   A5
ページ数 186
発行   日本評論社
発行日  2017/8/25

サポートページ





ISSAY MIYAKEのパリコレに数学を取り入れよう。
それも、超難解で有名なポアンカレ予想を元にしたイメージでデザインしようということになり、数学的な説明をするにはこの先生が適切と推薦されたのが著者の阿原氏である。
氏は、最近話題の明治大学総合理工学部(中野キャンパス)先端メディアサイエンス学科・FMSの教授である。
本書は、著者がISSAY MIYAKEのクリエイティブディレクターの藤原大氏への対話の形式である。

副題にもある「ポアンカレ予想」についてはまったく詳しくないので、そのあたりの説明は無視して読んだが、それでも読み進めばなんとなく「絡み目」について分かってくる。

本を開くと、カラーのファッションショーの写真が続き、その後に本書で延々と説明がある「絡み目」、要するに紐などの写真がある。
この写真を見たとき、著者はパリで指導したのかと思ったら、日本で教えただけらしい。

最初に、サーストン教授から渡された「8つの宇宙の形」という絡み目の絵が出てくる。
この8つの絡み図は、幾何化予想に対応しているのだが、詳しいことは説明できないので、自分で調べて欲しい。
絵は紐が絡まっている図なのだが、それが宇宙とどう関係しているか、幾何学と関係しているかの説明が延々と続いて1冊の本になっている。

トポロジーの世界なので、図がどんどん変形していく。
面を曲げて貼り付けたり、伸ばしたりするのであるが、複雑になってくると想像がしだいに困難になり、頭が絡んでしまう。
目で追っていくだけで、結局は同じ絡み目であることが分かることもあるが、困難なものは実際に紐で同じものを作り、ごちゃごちゃ弄り回すと、あるとき突然同じになって、同じこと(同相)は分かったが、変形手順は謎のままで終ることが多かった。

本書には、数式がほとんどない。
それでも、数式レベルのことも知りたい読者のために、各章の最後に宿題がり、計算問題が入っている。

本書は、どういう人が読むのであろうか?
位相数学をちゃん勉強する人は、他書を読むと思う。
それより、数学と社会、デザインの関係などをぼんやりと理解する、イメージするための本であろうか。
数式なんてもう何年、何十年も書いていないような人でも、最先端の数学の一端に触れることができる本と言えば良いだろうか。
MATH POWER 2017で挑戦してもらう247合体ナンプレ関連についてあれこれ書いてきたが、もうイベントの日が間近だ。
ということで、合体ナンプレでしか経験できないような事を紹介しよう。

次の図の状態まで解き進んだとしよう。
まだ決まるところは色々あるのだが、非常に特徴的な決まり方がある。
それも、連続技といか、芋づる式というか、どんどん決まるのがある。

どんどん決まるのは、9x9の普通のナンプレでもあるのだが、この問題では、ある数字について、かなり広範囲に決まっていくので、次を見る前に、ぜひ自力で見つけてみよう。

candidate4 (700x686).jpg何が芋づる式かを以下に示す。

合体ナンプレを解くとき、マスに入れる数字が1つに決まる場合は良い。
しかし、そういう場合は少なくて、いくつかの数字が入る可能性があるのが普通だ。
マスに入る可能性が残っている数字のことを「候補」という。
何の制約もないとき、マスには1から9までの9個の候補がある(最大)。
しかし、注目しているマスが入っている行、列、ブロックにある数字は、そのマスに入れることができないので、候補から消す。
すると、数個の候補が残る。

candidate1.png しかし、これでも大変だ。

最初に、全ての空きマス(未決定マス)に候補を全部書き込んでいる人を見かける。
9x9のナンプレでも、もし50マス空きがあり、平均4個候補を書こうとすると、200個も数字を書かないといけない。
それに、多数の小さな数字を書き加えると、盤面が非常のごちゃごちゃしてしまう。

そういうこともあって、ナンプレに慣れている人は、少しの候補だけを効率よく書き加えては考えるのが普通だ。
たとえば、こんな感じに書き加える。

candidate2a (600x587).jpgある数字の候補を入れられるマスが9マスよりなる同じ縦列、横列、ブロック内に2マスだけになった場合に書き込むことが多い。
さらに、その2マスが縦か横に2マス連続している場合、2マスの中央(境界線上)に書くことが多い。、

青の丸数字は、初期状態で決まる数字であり、丸の無い青色は、問題およびその後に決まった数字の影響で確定したもの。
そして、小さい紫色の数字が候補である。

上の途中図は、適当な解きかけの状態である。
候補まで考えなくても、まだまだ決められる箇所はあるのだが、全部きちんと調べるのは人間には難しい(コンピュータにはやさしい)。

さて、上の図の状態で、候補同士の影響で決まる箇所がある。

このアーカイブについて

このページには、fujiが最近書いたブログ記事が含まれています。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。