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数式の簡約法則についてのウルサイ話

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MATH POWER 2017が1ヶ月を切ったので、ちょっと数学的な話をしよう。
といっても、数学的にはちょっと雑かもしれないが。

計算式で、次の簡約法則が成り立つのは当然と思っていないだろうか。

もし x ≠ 0 で、x ・ y = x ・ z ならば、  y = z  である

なぜならば、左辺、右辺を同じ数 x で割れば、あるいは 1/x を掛ければ、 y = z となるので当然。

ところで、数の世界は、最初に加算を定義し、次に減算を定義することで、自然数だけで閉じていた加算に0と負の整数を加えて、加減算が自由にできるようになった。

つぎに乗算を定義する。
ここでは記号 ・を使うことにする。

ところで、上の命題、乗算は使用しているが、除算は入っていない。
上の命題は、除算を含んでいないので、除算がまだ定義されていない世界で成り立つだろうか。

数の演算で、加減乗まで認めると「環(ring)」になり、除算を認めると「体(field)」になる。
つまり、環は整数だけで大丈夫なのだが、除算が入った体は整数の世界で閉じなくなる。
なので、できれば、整数だけの世界で上の命題を考えてみようという訳だ。

群・環・体については聞いたことがあるかも知れないが、環と体の間というか、環をちょっと拡張したものを考える。

まず、零因子の定義から。
あるy≠0 に対して x ・y = 0 となる x を「零因子」という

そして、加減乗ができる環に以下の条件が成り立つ場合、整域という。
0が唯一の零因子である環は、整域(integral domain)と呼ばれる

つまり、 x ・y = 0 だったら、x か y は必ず0である世界である。
 まだ除算を導入していないが、この場合にも、最初の命題の乗算の簡約法則が成り立つ。

 では、x ・ y = x ・ z ならば、  y = z  を除算を使わず整域の範囲で証明してみよう。

x ・ y + x ・(-z) = x ・ z + x ・(-z)
左辺 = x ・ y + x ・ (-z) = x ・ (y + (-z))
右辺 = x ・ z + x ・ (-z) = x ・ (z + (-z)) = x ・ 0 = 0
となり、
x ・ (y + (-z)) = 0
命題では x ≠ 0 なので、
y + (-z) = 0
でなければならない。 この式から移項することで、 y = z が得られる。(証明終了)

参考文献:野崎昭弘『なっとくする群・環・体』講談社(2011)の3.1.1 整域 を大いに参考にした。

除算を考えなくても乗算の簡約法則が成立することが証明できたのだが、少々面倒な証明になっている。
世間では、共通因子で割ることができるとの考えが普通であろう。
つまり、初めから体しか考えていないと思われる。

ということで、屁理屈(難癖)終了。


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このページは、fujiが2017年9月13日 00:00に書いたブログ記事です。

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